「相互扶助制度を解約したら、手数料を積立金から差し引かれました」…そんな相談が弁護士の竹下正己氏のもとに寄せられた。
【質問】
母が30年前に契約した冠婚葬祭の相互扶助制度を解約したら、手数料6万円を差し引かれたそうです。母には大きな金額ですが、契約書を紛失したため、妥当な金額かどうかわかりません。積立金の問題だと思いますが、冠婚葬祭の相互扶助制度と、解約の際の注意点について教えてください。
【回答】
冠婚葬祭は、将来いつ起きるか予測できませんが、多額のお金がかかります。その互助制度とは、元々は地域社会の仲間が少額の積立をして融通し合う、互助の精神で始められたものです。
しかし現在は、「互助会」という名称を持っていても、株式会社などの営利事業者が、契約した会員から会費を集め、将来、必要になったときに冠婚葬祭のサービスを提供するものも含め、全国に数多くの互助会があります。
運営している事業者が異なれば、どんなサービスを受けられるかは、会員と契約する入会契約で定まります。
この制度では、将来提供されるサービスの料金を事前に分割で前払いすることになります。割賦販売法の規制する「前払式特定取引」にあたり、業者は経済産業大臣の許可が必要です。許可を受けるためには、割賦販売法施行規則の定める基準に添った約款の添付も求められています。
この規制の基準では、顧客側の都合による解除の場合、その損害賠償として、「契約の締約及び履行のために通常要する費用の額」が容易に計算できる方法で積立金から控除され、残額が45日以内に払い戻されることが必要とされています。
私が入手した業者の約款には、コースや掛けた回数によって違いますが、概ね払戻額が1~2割程度の減額になる計算表が掲げられています。お母さんの6万円減額が、業者が経済産業大臣から許可を受けたときの約款に適合しているかどうか、確認してください。
約款を読むと、解約の場合の払戻額だけではなく、受けることができるサービス内容や、転居等で利用できなくなったときに、転居先でさらに継続できる条件などもわかります。加入する際には、契約条件の十分な検討が必要です。
※週刊ポスト2010年12月10日号