常に時代を騒がせてきた孫正義・ソフトバンク社長が目下、政府と激論を交わすのが、光ケーブルで日本中を覆い尽くす「光の道」構想である。孫氏に日本の教育の改革案について聞いてみた。
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――教育をどう変えるべきなのか。
僕は小学校1年生から、日本語、英語、IT語(2進法)を教えるべきだと思う。別に米国に媚びているわけではなく、いま現在でも、中国人や韓国人、インド人とビジネスをする際にも英語が使われている。国際試合に出て行くためには、通訳を交えずに英語でコミュニケーションを取れなければ勝負にならない。
――そうした改革への情熱はどこからきているのか。
僕は飛び級でたまたま2年早く大学に入りましたが、同じ頃に大学に入学した同期には、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、サン・マイクロシステムズのスコット・マクネリ、いまグーグルのCEOをしているエリック・シュミットなどがいて、日本ではアスキーの西和彦もいた。
この大学1年の時に、マイクロコンピュータのチップを個人で買えるようになり、個人がパソコンを手作りできる時代が始まった。当時17歳、18歳で、大人の一歩手前にいた我々は、マイクロチップという「黒船」を見たわけです。
そして僕たちの20年後の世代は、いまからちょうど15年前にインターネットという黒船を見た。そこで感動を受けた連中が、ネット企業を勃興させた。米国は彼らを大切にして成長エンジンにし、日本はダメにして成長エンジンを失っている。その差がいまの大きな差になっている。
※週刊ポスト2010年12月10日号