FX(外国為替証拠金取引)で8億円を稼いだカリスマ主婦として知られる池辺雪子氏。1ドル=80円割れ目前の9月の時点で、「70円台の円高は想定していません」と述べ(関連記事参照)、いまのところその通りの相場展開をみせている。池辺氏に当時の予想の根拠と、今後の相場展開をあらためて聞いた。
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まずは本誌前号(2010年10月4日発売号)で池辺雪子氏が述べた、10年内の米ドル/円相場の見通しを紹介する。
〈私は70円台の円高は想定していません。足元の相場からはゆっくりと円安に向かい、一進一退を繰り返しながら、年内には90円程度の円安まで戻ると見ています〉
池辺氏による為替相場の予測シナリオは、常にチャートに基づいたテクニカル分析をベースとしている。この時の予想の根拠も明快である。
「今年(10年)の米ドル/円のドル高値は95円。ドルが下落して、いったん反発したのが87円。この間の下げ幅は約8円あります。したがって、87円から再度ドルが下げた場合、同じ値幅の8円ほど下がった80円で反発すると予想できたのです」(池辺氏=以下同)
11月頭のFOMC(金融政策決定会合)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的金融緩和に踏み切ったが、当時はドル安が進行して史上最安値79円75円を更新する、という見方が金融市場の大勢を占めていたが。しかし実際は、池辺氏のシナリオ通りの展開となっている。
「相場にはオーバーシュートはつきもの。もちろん一時的に80円割れはあるかも知れませんが、そうなれば、政府・日銀が本格的な介入をして、80円台に押し戻されると考えています」
また、チャート上、いつ円安に転換してもおかしくないシグナルも出ているという。
「RSIのダイバージェンス(逆行現象)が2008年頃から発生しているのです」
RSIとは、その時点のレートが相場の高値圏にあるのか、あるいは安値圏にあるのかを示すテクニカル指標で、相場の転換点を教えてくれる代表的な指標だ。このRSIの動きが為替レートの動きと逆行している状態を、「ダイバージェンス」と呼び、相場のトレンド転換が近いことを示唆するという。
米ドル/円相場では、月足のチャートでこのダイバージェンスが2008年頃から発生しており、それ以降現在まで、ずっと継続している。これは極めて異例な状態だ。
「これほど長期間にダイバージェンスが起きている場合は、過去の例から見て、反発力が大きく、長期間にわたってトレンドが持続する可能性が高い。つまり、長期円安相場の到来を示唆していると考えられます」
※マネーポスト2011年1月号