不況のご時世、どこの業界も顧客のことを考えて必死でサービスや付加価値の競争を繰り広げている。工夫を重ねて値段を下げることも、立派な経営努力のはずだ。しかし、「そんなことはまかりならん!」と規制される業界が存在する。タクシー業界である。政策工房社長の原英史氏が指摘する。
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どうせ「再規制強化」するなら、何とかしてほしいのは、「道のわからない運転手」だ。
東京や大阪では、「タクシー業務適正化特別措置法」(1970年制定)に基づき、運転手は「地理試験」を受けている。なのに道を知らない運転手は多い。
実はこの法律の施行規則(第39条)では、「地理試験」の内容を、道路名や著名な建造物名などについての「筆記試験のみ」と定めている。これでは、東京の道路を一度も走ったことがなくても、地図を見ながら過去問を頭に叩きこめば、合格できてしまう。
問題解決のため、今回は提案をしてみたい。
●タクシーに「運転手評価装置」をつけ、乗客が5段階評価で入力できるようにする。
●評価結果を集めて「優良運転手」を認定。地理に明るくない人は当然評価が低くなる。
●「優良運転手」の乗る「優良タクシー」は全社共通で車体を黒色、「一般タクシー」は車体を黄色にするなど、識別可能にし、料金に差をつける。
こんなふうにすれば、タクシー運転手たちはサービスの質を競うようになるのではないか。そんな「競争」なら、大いにあっていいはずだ。
※SAPIO2010年12月15日号