世界中から注目されている中国。そんな中国は「性」の分野でも発展を遂げているという。世界の不倫事情に詳しいアメリカ人ジャーナリストのパメラ・ドラッカーマンさんに中国の不倫事情について聞いてみた。
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毛沢東は、愛人を囲うことは重婚にあたるとして法律で禁じました。毛自身は数千人の愛人がいたとされていますが、民衆には不倫どころか自由恋愛も認めず禁欲を強いたのです。しかし、今や世界第2位の経済大国となった中国は、“性革命”の最中にあります。後述するロシアと同様、タガがはずれた反動で、性の解放が著しく進んでいます。
広東省の深センは“不倫のユートピア”であり、一夜のお楽しみはよりどりみどりですが、この都市には地元メディアが“第二夫人村”と呼ぶ地域が点在しています。実際に足を踏み入れたのですが、低層の建物が立ち並び、どこを向いても若い女性だらけ。ティーンエイジャーとおぼしき女の子もいました。
香港で雑用係をしているマーティンという男性は、香港に妻がいるのですが、深センに第二夫人がいて「深センの女たちは安くて美人だし、若いんだよね」といっていました。
愛人を囲うことはかつては中国の富裕層の特権でしたが、今ではマーティンのような労働者階級でも別宅を持てるようになっている。中国では、金持ちになって愛人をもつことが英雄の証で、それが当然のことだと思われています。専門グループの調査によると、汚職で有罪判決を受けた当局関係者の95%が愛人を囲っていたそうです。
中国の不倫のルールは、「愛があること」です。特に都市部では、愛がある不倫は悪いことではないと信じられている。中国の研究者が1990年に行なった調査によると、男性の84%と女性の92%が夫婦はたがいに性的に忠誠を守るべきだと答えましたが、愛を追求する不倫は許されるかと問うと、大卒男性の40%、女性の28%が許されると答えました。
では、中国人はどのように愛人になれと口説くのでしょうか。アメリカとはまったく逆で、自分の妻のことを褒めまくります。自分が女性を尊重する人間であり、家庭を壊さず、割り切った関係を望んでいることを示すためです。そのくせ不倫を正当化するため、そこには愛があると主張するのです。
※週刊ポスト2010年12月17日号