過払い金返還問題で窮地に立つ消費者金融業界。その中でも、一代で武富士を融資残高1兆円の企業にした武井保雄元会長の生き様は異彩を放っている。2006年、享年76でこの世を去った元会長の人生に、ジャーナリスト・山藤章一郎氏が迫る。
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武井と数少ない友人付き合いをした銀座のレストランシアターオーナー・児玉昇造氏、65歳―。
「好きなものは、女の太腿と大きなケツ、赤い色、それに村田英雄の『花と竜』でした。『俺が死ぬのはここに決めた』みたいな歌です。『それが男さ』とつづくんですが、替え歌にして『それが武井さ、武富士さ』と。
男気を見せるのが好きで、『任しとけ。俺が武富士だ』と胸をたたきます。しかし最後は人を疑い、弁護士のカネも出し渋る。
あるとき私申しました。『会長いいですね。お金はあるし、女はいるし、好きなことなんでもできて』 そしたら『俺だってさびしいこともあるよ』って」
※週刊ポスト2010年12月17日号