タイガー・ウッズ、ビル・クリントン……多くの男性が「不倫」によって痛い目に遭ってきたが、不倫事情は国によって異なるもの。そこで、不倫に詳しい米国人女性ジャーナリストのパメラ・ドラッカーマンさんからフランスの不倫事情を聞いてみた。
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世界的にも“情事好き”と思われているのがフランス人ですが、意外にも一途です。というのも長く同棲して相性を確かめて結婚する人が多いからです。一夫一婦制を固く信じ、不倫率はアメリカと同程度で決して高くはありません。
しかし、もし不倫関係にある場合、それを割り切って楽しむのがフランス人です。不倫相手に“恋しい”という言葉を使っても、“愛している”は結婚相手に対してしか使わない、成熟した不倫大国なのです。
私がインタビューした政府コンサルタントの女性は、「神は死んだの。不倫をするうえで大切な道徳的ルールはひとつだけ。他人の感情をできるだけ傷つけないようにすること」と語りました。パートナーにバレないようにウソをつくのがむしろ礼儀であり、それを守れば罪の意識は生まれない。もし相手が不倫をしているとわかっても知らないふりをする。妻は夫が愛人を持つことに寛容で、ミッテラン元大統領の墓のすぐ側には元愛人の墓があります。
婚外セックスを道徳心の欠如とは考えない国民性があるのです。あるフランス人医師は「いくら頼んでも妻がセクシーな洋服を着てくれず、化粧もせずで、結局、不倫に走った」と打ち明けました。現在は、愛人と毎週金曜日に昼食をとり、セックスを楽しんでいて、もう5年になるそうです。でも、「そのおかげで精神治療に通う必要がなくなった」といい、妻との関係もうまくいっているそうです。
※週刊ポスト2010年12月17日号