男の浮気性は、「そもそも男というのは遺伝子をまき散らしたい生き物だから」と説明されたりするが、実は女の不倫にも確固たる理由があった――。不倫が題材のルポや小説などが多数ある作家・亀山早苗氏が説明する。
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不倫はもはや特別なことではありません。私はこれまで数多くの不倫の事例を取材してきましたが、不倫の敷居がずいぶん低くなってきているのを感じます。
『セックス・アンド・ザ・シティ』があれだけヒットしたのを見てもわかる通り、女だって根はスケベ。「結婚している」「子供がいる」といったことがもはや歯止めにならないのです。「チャンスがあればいろんな人としてみたい」というのは、男も女も変わらない。そして実際、チャンスの数は増え続けています。
一時期、かつての同級生と同窓会で久々に再会し焼けぼっくいに火がつくという「同窓会不倫」が話題になりましたが、最近の不倫にはそんなドラマチックな舞台装置すら要りません。
同じ町内や同じマンションに住んでいるなど、距離的に近く、気軽に会える相手とのカジュアルな不倫が増えているのです。マンションの自治会の役員を一緒にやっているだとか、子供同士が同じサッカーチームでよく会うお父さんだとか、近所で関係を持つケースが多い。そして夫がいない時間帯に、隣駅のラブホ辺りで情事に耽るのです。
そこに危機意識はほとんどありません。女性は恋愛初期には悩みますが、一度決意を固めると、見事に家庭と恋愛を使い分ける。男性が後ろめたさを抱えるのに比べ、女性は腹が据わっているから、夫にもバレにくい。いざとなれば離婚したって構わないと考える人もいます。だから男性は「相手も家庭を壊したくないはず」という前提で付き合っていると、痛い目に遭うかもしれません。
※週刊ポスト2010年12月17日号