おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、07年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が自由の国・アメリカの7つの州でオーラルセックスが違法であることを指摘しながら、こう続ける。
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この手のトンデモ法には、動物モノも多い。「ライオンを連れて映画に行くのは禁止」(メリーランド州ボルティモア)、「馬を怖がらせるから道で傘を開くのは違法」(アラバマ州)、「ワニをバスタブで飼ってはダメ」(アーカンソー州)など。動物モノ以外では「音程をはずして歌うのは違法」(ノースカロライナ州)、「耳の穴に硬貨を入れるのは違法」(ハワイ州)なんかがある。
中には、深い事情が隠れているものも。たとえば「コスチューム姿での集会は違法」(ノースカロライナ州)は当時、白頭巾姿で有色人種を攻撃するKKK(クー・クラックス・クラン)の動きを封じ込めるための、苦肉の策だったらしい。
「アメリカって自由の国なんでしょ? 個人の自由を侵害しかねない法律、どうして廃止しないのですか」とセンバー先生に質問したら、先生はとぼけた顔でこう言う。
「もしも君が州の議員だったら、わざわざ『オーラルセックス合法化』を声高に唱えるかい? 保守派や高齢者、宗教心に篤い有権者を敵に回してしまうよ。法律はすでに形骸化してるのに『音痴歌唱の合法化』なんて大真面目に訴えるかな? 議員としての資質を疑われるかもね」。時代遅れのトンデモ法が廃止されず、法律書に残ってしまったのは、そういう理由だったのか。
※週刊ポスト2010年12月17日号