未曾有の高齢化社会の到来を前に、人間が人間としての尊厳を保ちながら死ぬ「尊厳死」、患者の求めに応じ、医師などが積極的あるいは消極的手段によって死に至らしめる「安楽死」に注目が集まっている。尊厳死と安楽死を満たす要件は以下の通りだ。
●「治療行為の中止(=尊厳死)」の3要件
【1】患者が治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがなく、死が避けられない末期状態にある。
【2】治癒行為の中止を求める患者の意思表示か、家族による患者の意思の推定がある。
【3】「自然の死」を迎えさせる目的に沿った決定である。
●「安楽死」の4要件
【1】患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいる。
【2】死が避けられず、死期が迫っている。
【3】肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、ほかに代替手段がない。
【4】生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある。
(「安楽死」「尊厳死」ともに1995年3月の東海大安楽死事件・横浜地裁判決による)
※週刊ポスト2010年12月17日号