大奥は、全国から選りすぐられたキャリアガールが集う憧れの職場だった。そんな大奥女中の給与体系はどうか。
頂点の老女には基本給の「切米」50石(約1000万円)、衣装や化粧手当の「合力金」60~80両(約1200万~1600万円)という年収が保証され、月々炭15俵、薪20束と盆暮れに衣装の支給、拝領もある。『面白いほどわかる 大奥のすべて』著者で東京大学史料編纂所教授の山本博文氏は、「これらと別に年一度、将軍と御台所から大判3枚が下賜されました。これは約420万円に相当します」と解説する。
現在の価値観からみても、女性キャリアとして十分な収入だ。「平均的な大奥女中でも基本年収が約160万円、そこに諸手当約515万円が加算され、炭や薪、油など現物の生活補助もつきます」(山本教授)
さらに長局での住居費はタダ、管理職になると町屋敷を拝領し、家賃収入が得られた。ペリー来航直後までは、勤続30年以上だと切米か合力金の多い方と扶持米が一生保証されていたというから、江戸女の間で大奥人気が高かったのもうなずける。
※週刊ポスト2010年12月24日号