4日、日刊スポーツ(一部地域版)が1面で「ヤクルト身売り」と報じた。内容は、赤字に苦しむヤクルト球団がIT広告会社相手のサイバーエージェントに売却されるというもの。報道の直後、球団とサイバーエージェントの両者が「事実無根」のコメントを発表。結果的に記事は「誤報」だったわけだが、そもそもどこから「サイバーエージェント」の名前が浮上したのだろうか。取材を進めると、同社と球界を結ぶ様々な線が見えてくる。
同社は、かねてからプロスポーツビジネスに積極的で、2002年には米国MLB.comの日本語ライセンスを独占取得し、「Major.jp」を開設していたほか、2006年にはJリーグの東京ヴェルディの経営に参画している。社長の藤田晋氏も、球界参入に大変な興味を持っている。以前、自身のブログで楽天の球界参入に関して、
「ネット企業にとって知名度、信頼感は企業価値を創造する上でもっとも重要な要素。同じネット新興企業の立場から言わせてもらえば、結果として凄まじい投資パフォーマンスを挙げたと感じてます」
と絶賛していたし、今回の騒動の会見中には、「ウチにはまだ早い」「検討していない」としながら、「ソフトバンクと楽天の大成功は羨ましい」と漏らしている。
藤田社長は、特に楽天と近い。島田亨球団社長は、藤田氏のかつての上司で、三木谷浩史社長とは茨城県下の高級ゴルフ場のメンバー同士。このゴルフ場は、かつて楽天の本拠地のネーミングライツを獲得した、フルキャストの創業者・平野岳史氏が理事長を務める。
「ソフトバンクの孫正義社長も会員だと聞いています。年会費は100万円、会員はわずか100名で、会員以外は紹介がないと入場すら難しい。彼らIT社長たちの“フェアウェイ商談”の場として知られています」(ゴルフ誌記者)
そして藤田氏は「5年前からヤクルトファン」と公言している。そうした関係の濃さが、球界関係者たちの“やっぱり”に繋がったようなのだ。
※週刊ポスト2010年12月24日号