小沢一郎・民主党元代表は2009年の総選挙で91人の民主党候補に約500万円ずつ、総額4億4900万円の選挙資金を寄付し、88人を当選させた。原資の大部分は新生党時代に集めた献金を解党後に蓄えていたもので、いわば兵糧倉を開いて「天下分け目の戦い」に臨んだ。
資金力に乏しく、選挙資金が枯渇していた民主党の若手たちにはそれが“恵みの雨”となった。
ところが、政権の座に就いた菅直人・首相、仙谷由人・官房長官、岡田克也・幹事長は、今になって「あのカネで私兵をつくった」と小沢批判を展開し始めた。
しかしそういう菅氏も2009年、約1億3000万円を集めた。そのうち民主党からの寄付は4078万円で、党所属議員で最も多くの資金配分を受けている(小沢氏ら他の多くの議員は2000万円)。
そして同氏の資金管理団体『草志会』は、その資金から、総選挙時に櫛渕万里氏の260万円をはじめ、候補者5人に810万円を寄付した。
菅氏は過去にも選挙の年に多くの党資金を懐に入れている。小沢代表時代の2007年参院選の際には、約1億2000万円という突出した寄付を受け(小沢氏はゼロ)、自身の政治団体の事務所費やグループ議員への分配に回していた。党の資金を同志に分けるのが「私物化」だというなら、それをしていたのはむしろ菅氏だ。
※週刊ポスト2010年12月24日号