受託収賄罪などで実刑が確定していた鈴木宗男氏が、12月6日、ついに収監のため東京高検に出頭した。高検前で最後の会見に臨んだ鈴木氏は改めて無罪を主張し、「真実が明らかにならなかったのは悔しく思う」と述べた。実はその言葉の中には、メディアが一切扱わなかった「真実」が隠されている。鈴木氏は収監直前、ジャーナリスト・上杉隆氏にすべてを語った。
上杉:民主党は、2001年に鳩山由紀夫代表(当時)が本会議で官房機密費を廃止すべきだと発言し、機密費使用文書作成・公表法案を党として提出しています。にもかかわらず、同じ政党の平野(前官房長官)、仙谷の2人の官房長官は、それに逆行するようなことをやっている。
鈴木:歴史的な政権交代をした。そのことが一番わかりやすく国民に伝わるのは、機密費を公開することだと私は思っています。それが自民党政治と民主党政治、官僚政治と国民本位の政治の一番の違いになる。平野さんにも仙谷さんにも「これが政権交代を一番わかりやすく説明できる姿、形ですよ」といったのですが、なかなか理解しませんね。民主党の腰が引けているのは、官僚政治になっているからです。
上杉:鳩山さんは官房機密費も記者会見も両方オープンにするといっていたのに、首相になったらひっくり返してしまいました。最近、鳩山さんと会ったんですが、私にこういってました。官邸に入って両方オープンにするよう指示を出したのに、官僚にやられてしまった。つまり騙されたんだと。実際に官邸のなかではそういうことがあるんですか。
鈴木:鳩山さんがそういったとすれば、それは正しい、正直な話だと思いますね。
上杉:房副長官として官邸に出入りされていたときには、そういうイメージはありましたか。
鈴木:ええ。当時、私は自民党の権力の中枢にいましたからね。なぜ私がいま機密費について発言しているかというと、やはり国民に対する贖罪、反省からなんです。少なくとも官房機密費は税金です。国民の汗と涙の結晶ですよ。それが国会対策や沖縄の県知事選挙に使われてはいけない。あるいはマスコミの人たちへの出世祝いとか、転勤見舞いなどに使っていいような金では決してないんです。
※週刊ポスト2010年12月24日号