最新刊『中国株「黄金の10年」』が絶賛発売中で、中国株投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏。今回は、戸松氏が中国株ではなく、2011年の日本株市場の行方を徹底分析し、注目の「上がる株」を紹介する。
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【2011年の注目テーマ】
日本株の軟調が続くなか、その企業が本来持っているはずの価値以上に徹底的にたたき売られている銘柄の大化けに期待したい。いまやトヨタ自動車でさえPBR(株価純資産倍率)が1倍以下となっており、純資産よりも株式時価総額の方が小さく、その企業が清算した方が株主は得をするような水準が続いている。しかし、なかには魅力的な事業や純資産、高い収益性などが見込まれるのにもかかわらず、極めて割安に放置されている銘柄もある。そこを狙いたい。
【日経平均の推移予測】
米国では金融緩和政策が協力に推し進められる一方、日本には為替をコントロールする明確な意図が見られず、あと1~2年は円高ドル安基調が続くと見ている。米国の利上げか、日本の国債発行残高が極端に膨らむ懸念が広がれば円安に転じるが、まだ時間がかかる。日経平均も上値は限られ、年末年始に1万円台を試す展開が続き、緩やかな上昇カーブを描きながら3月末にかけて1万1000円を目指すだろうが、その後は下落。5月頃に再び1万円割れになると予想する。
【注目銘柄】
●GMOインターネット(東証1部・9449)
1999年上場とIT関連銘柄としてはかなりの古株だが、2006年と2007年の決算で大幅な赤字を計上したことで投資家の信頼を失い、株価は長らく低迷している。ディー・エヌ・エーやカカクコム、グリーといった業績好調な勝ち組と比べれば、株価的には「負け組」といえるかもしれない。
ただし、その中身は決して悪くない。足元の業績をみると、今期(2010年12月期)は3期連続の増収増益の見通し。しかも、11月8日には今期業績予想を上方修正し、売上高が115.2%増の440億円、純利益に至っては62.5%増の22億円と大幅な増益を見込んでいる。これが達成できれば、予想PER(株価収益率)は15倍前後となり、これだけを見ても、ネット企業としては割安な水準だ。
加えて、収益性を計るROE(株主資本利益率)も19.61%(前期実績)と高く、中身を検証すればするほど、理論株価に対する現在の株価は極めて割安に置かれていると判断できる。長らく下値固めをしてきたこともあり、株価は今後2年程度で2倍になったとしてもおかしくない。
※マネーポスト2011年1月号