11月某日、神奈川県内のある市民ホール。50才前後~80代の男女数十人が、各々持参した息子や娘の写真とプロフィールを片手に、真剣な面持ちでわが子を売り込んでいる。が、当の“本人”はそこにはいない。これがいまや日本各地で開催されるようになった「親の代理見合い」の現場だ。
「婚活」という言葉がブームになって久しいが、出会いがなかったり多忙な子供の代わりに、親たちが積極的に婚活を始めるようになった。この日、代理見合いに参加した37才の娘をもつ母親Aさん(63)はこう語る。
「うちの娘は昔から勉強ができる子で、国立大を出て一流企業に就職したんですよ。いまは仕事を辞めて家にいるんですが…。娘は乗り気ではありませんが、条件は悪くないと思うんです。早く孫の顔も見たいですし、出席してみました」
半年前、都内のホテルで行われた親の婚活イベントに参加し、めでたく44才の息子を結婚させることに成功した母親のBさん(67)は嬉しそうにこういう。
「4~5回参加して、ようやく息子に合うお嬢さんを見つけることができました。うちの息子はちょっとがさつなところがあるので、しっかりした気の利くタイプのかたがいいなと思ってたんですよ。相手の親御さんに会えば、どんな教育をされてたか、普段のご様子など聞けばだいたいどんなお子さんかわかりますから。本人同士のお見合いより話がスムーズでした」
それで円満ならば問題ないかもしれないが、本来なら本人同士が相手を選ぶのが筋。受験や就職ならまだしも、結婚にまで親が手を貸すというのはあまりにも過保護な気がするけれど…。
※女性セブン2010年12月31日・2011年1月1日号