民主党政権の失政を振り返れば、きりがない。「百害あって一利なし」だった2010年の民主党政権を、大前研一氏が総括する。
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「(内閣支持率が)1%になっても辞めない」――菅直人首相は鳩山由紀夫前首相との会談でそう述べたという。
しかし、もはや菅内閣は「死に体」だ。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11月下旬に行なった合同世論調査によれば、内閣支持率は発足以来最低の21.8%に急落したが、まだ20%以上もあるほうが不思議である。
尖閣諸島沖の中国漁船衝突ビデオ映像流出、失言による柳田稔前法相更迭、北朝鮮の韓国・大延坪島砲撃事件における対応の鈍さ、仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相に対する問責決議の可決…。政治とカネの問題や沖縄の米軍普天間飛行場移設問題などで8か月の短命に終わった鳩山内閣に輪をかけて迷走している。
それにしても、ここまで民主党がお粗末だとは、誰も思っていなかったはずである。
国民は自民党の体たらくに呆れ果て、2009年の総選挙で政権交代を選択した。しかし、その結果どうなるかということは考えていなかった。いわば、これまで自分たちが暮らしてきた土地よりも川の向こう岸の土地のほうが良さそうに見え、思い切って川を跳び越えたら、実はそこは泥沼で足がズブっと沈んでしまった、という感じである。
※SAPIO2011年1月6日号