自宅トイレに女性が9日間ものあいだ閉じ込められるという事件が発生した。
97才の母親とふたり暮らしだった63才のA子さん。母親は10月初旬から、間質性肺炎で入院。A子さんは2010年6月にそれまで勤めていた会社を辞めており、毎日、母親の看病のため病院とマンションを往復する日々を送っていた。
母の入院から1か月が経った11月4日午前1時ごろだった。A子さんは就寝前にパジャマに着替え、トイレにはいった。その瞬間、「バタン」という大きな音とともにドアがパタッと閉まってしまった。ドアを開けようとしたが、びくともしない。どうやらトイレの前の廊下に立てかけてあった、コタツ一式がはいった段ボールが倒れて、つっかえ棒のようになり、ドアが開かなくなってしまったらしい。
トイレには窓も時計もない。時間を知る方法は、翌日になってわかった。換気扇を通してはいってくる、朝8時30分に始まり、昼1時間の休憩をはさんで夕方6時に終わる工事現場の音だった。
結局、A子さんは9日間もトイレで生活をするはめに…。
本誌は、そのA子さんに話を聞くことができた。また、A子さんは救出後に、トイレでの生活について手記を綴っていた。
閉じ込められてから2日目、目を覚ますと口の中がカラカラで、唇はひび割れ、歯茎は真っ白。
<このままでは脱水症状になると思い、トイレの手洗い水を飲めるかどうか不安であったが、飲んでみたら意外と美味しく感じた>(手記より。以下< >は手記引用)
そして3日目…。
<暇なのでトイレの隅々まで見廻し、今まで気になっていた奥の隅々の掃除と、便座を徹底的に磨いた。今までトイレは不浄なところと思っていたのに、ここで暫く暮らすとなると綺麗にせずにはいられなかった>
1週間以上が経過した8日目には…。
<泣きたいと思っても不思議と涙が出ない。脱水しているからか>
A子さんを救ったのは入院中の母親だった。閉じこめられて7日目に、母親は看護師に「娘が見舞いに来ない。連絡してほしい」と訴えたという。それから病院は何度も自宅に電話をしたが応答がないため、9日目の朝、警察に通報。救助となったのだった。だが、母親はA子さんが駆けつけたとき、すでに意識はなかった。
※女性セブン2010年12月31日・2011年1月1日号