12月のとある昼下がり。参院議員会館の議員専用エレベーターに犬猿の男女が鉢合わせ、“密室”の中では、こんな修羅場が繰り広げられたという。
女:「あの時はどうも……」
男:「あんなことをいうなんて、お前はクズだッ!」
女:「えッ……(と絶句)」
男:「人間のクズ! クズだっ!!」
えらい剣幕で男は怒鳴り散らし、女が9階で下りるまで「クズッ」の怒声が響き渡った―。といっても、色恋沙汰のもつれ……なんて艶のある話ではない。怒った男は失言問題で法相を辞任した柳田稔氏(56)、女は自民党の丸川珠代氏(39)である。
丸川氏は、先の臨時国会の参院予算委員会で質問に立ち、「仕事をなめきっている」「このど素人大臣」などと、舌鋒鋭く柳田氏をバッサリ。全国中継で徹底的にやり込められた挙げ句、大臣の椅子を失った柳田氏が恨み骨髄のあまりエレベーターで激高したようだが、2人には深い因縁がある。
2010年3月25日の参院厚労委員会でのこと。「子ども手当法案」の審議を委員長が途中で打ち切り、採決に踏み切ったことに抗議した丸川氏、大声で「この愚か者めが~ッ!」と委員長席に向かってヤジを飛ばしたことが話題となった。その時の委員長が他ならぬ柳田氏だったのだ。このヤジで名をあげた丸川氏は、いまや参院自民党の“質問隊長”に出世し、自民党本部では「愚か者めTシャツ」まで売られている。
決してセンスのあるヤジではないし、それに便乗する自民党もみっともないのだが、議員歴19年の柳田氏にしてみれば「女子アナ上がりの小娘に、二度もコケにされた」というところ。「クズッ!」を連呼するほど怒ったワケをご本人に聞いたが、「お答えできない」(柳田事務所)とのことだった。
一方の丸川氏。「本人は“柳田さんの剣幕に驚いて、エレベーターの中では言い返せなかった”といっている」(丸川氏の政策秘書)が、心の中ではきっとこう叫んでいたに違いない。
「この愚か者めがッ」―。
※週刊ポスト2011年1月7日号