尖閣諸島沖の中国漁船衝突映像を動画サイトに流出させた神戸海上保安部の「sengoku38」氏。同氏にはこれから刑事処分の判断が下される予定だ。
とはいえ刑事処分に関しては、「国家公務員法の守秘義務違反で起訴するのは難しいのではないか」(捜査関係者)との声が強い。そこには、彼の処分次第で、「海保内部から第二のsengoku38が出るのではないか」との危惧もあるからだ。船上勤務の現役保安官はこういう。
「われわれ海上保安官は、ひと月に20日以上も帰宅できない厳しい環境にあり、現場でも適切な業務遂行ができない苛立ちや不満がありますが、国会議員にも一般国民にもわかってもらえません。勇気ある行動に出た彼には共感し賞賛したいし、このような行動に出られない自分に不甲斐なさを感じます」
本庁職員のなかには、「海保が情報管理で信頼を失ったのに、英雄気取りとは何事か」といった不満もあるが、現場からはこうした共感・賞賛の声が相次いでいる。当分、「sengoku38」の余波は続きそうだ。
※週刊ポスト2011年1月7日号