様々な関係者の支援や仕掛けもあって「ポプラ社小説大賞」を受賞し、またたく間に大ベストセラーとなった水嶋ヒロの小説『KAGEROU』。
ただし、受賞発表から出版に至るまでには、相当な苦労があったようだ。 原稿は、とてもそのまま本にできるレベルではなかったという。ポプラ社関係者がこう語る。
「複数の書き手がかかりきりになって後半部分を中心に手直しした。幹部から“話題が冷めない年内のうちに出せ”との号令があり、突貫工事で作業を進めたんです。ラストの誤植も、そんな中で起きてしまった」(※誤植は社員30人が6000枚のシールを貼って対処した)
ちなみに小説にせよノンフィクションにせよ、作品が完成に至るまでの作業は常に著者と編集者による二人三脚のようなものだ。
その結果、出来上がった作品は著者のものとして発表される。これには何の問題もない。なぜなら作品の評価もまた著者だけが背負うことになるからだ。
※週刊ポスト2011年1月7日号