「美人すぎる市議」なんてものが話題になりだしたのは、今から2年ほど前のこと。以来、雨後の筍のごとく、「美人すぎる」女性たちが世の中に溢れ出した。「美人すぎる海女」「美人すぎる書道家」「美人すぎる首相」「美人すぎる歯科医」──。しかし、このブームに違和感を覚える人も多い。
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そもそもなぜ「美人すぎる」ブームがここまで過熱したのか。イラストレーターでコラムも執筆するみうらじゅん氏がこう分析する。
「『美人すぎる××』の乱立は、消費者が大メディア発ではないキャラを求めた結果と言える。つまり彼女たちは“芸能界の臭い”がしないんですね。まだサインの練習もしていないはず……そういうのにグッとくるものなんです」
さらにみうらじゅん氏はこう続ける。「消費者は既存のアイドルには飽きていて、芸能界のビジネスの香りが漂っていることに気づいた瞬間に萎えちゃう傾向がある。それが『美人すぎる××』にはあまりない。だから身近な印象もあって、気になってしまうのでしょう。それをメディアがさらに煽るという現象が起きています」
確かに、中国のバス車掌の顧佳■さんのように、「美人すぎる××」はネットから火が付くケースが多い。ビジネスの香りのしない“身近なお気に入りの女性”を自分たちで見つけてしまおうということなのか。
東京、大阪で300人に街頭調査で「身近に『美人すぎる××』はいますか?」と聞いてみた。
「20歳の、美人すぎる保険外交員。聞いたら、剣道の達人らしい。そのギャップがいいんです」(34歳男性・会社員)、「美人すぎる研究者。おしゃれで頭もいい人です」(32歳女性・大学講師)、「自宅近くのコンビニで午前中だけいるバイト。2週間くらいかけて、ようやく世間話をする仲になった。これから、どうやって発展させようかな」(29歳男性・サービス業)
他にも、「美人すぎる女性駅員」「美人すぎるお米屋さんの奥さん」など、皆さん、それぞれ気になる人はいるらしい。いつも行くコンビニで、あるいは駅で……「気になる彼女」が、もしかすると何かのきっかけでネットやメディアで取り上げられ、一気に全国区で知られるようになるかもしれない。
■……雨かんむりに文
※SAPIO2011年1月6日号