「美人すぎる××」の氾濫は、一種の社会現象となっているが、では、ビジネス面ではどこに、どれほどプラスをもたらすのか。その“美味しすぎる経済効果”を、元日本証券経済研究所主任研究員で埼玉大学経済学部教授の相沢幸悦氏が検証する。
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青森県八戸市議の藤川優里氏の場合。
まず、極めて直接的な経済効果として、藤川氏のDVDと写真集がある。『藤川ゆりDVD love navi 八戸』(ポニーキャニオン)は定価3990円(税込み、以下同)で約2万枚、『藤川ゆり写真集 moe navi 八戸』(扶桑社刊)は定価2000円で1万部を売り上げている。合わせて9980万円。市議として話題にならなければ、企画自体存在しなかったと考えられるので、数字はそのまま「美人すぎる経済効果」として計上できるだろう。
次に、藤川氏本人が「地方の発展のために尽くしたい」と語っている通り、地元の観光への貢献は見逃せない。
2007年に当選した藤川氏は、2008年頃から「美人すぎる」と話題になり、同年11月に前述の写真集が発売された。そこで、青森県観光統計で八戸市の観光客数の08年から2009年にかけての推移に着目した。
08年の八戸市の観光客数のうち県内観光客は366万6000人で、09年は392万5000人。25万9000人増加している。観光客の消費動向(宿泊費、交通費、飲食費、土産品費など)の青森県内分の平均総額は、1人あたり1万4002円。人数と金額を掛け合わせると経済効果は、最大で36億2651万8000円となる。
さらに、藤川氏がプロデュースした駅弁「藤川優里のいちご煮日記 第一章」がある。八戸駅構内と駅に隣接する施設、JR東京駅と大宮駅で販売される。累計売り上げなどは発表されていないが、八戸では販売初日に50個を完売。大宮と東京の初日はそれぞれ、40個と60個が完売と報じられた。ご祝儀相場を勘案して、通常の売れ行きは初日の半分程度とするならば1日75個。単価は1150円なので、1年で約3148万円となる。
以上を合算すれば、藤川氏の経済効果の総計は、約37億5780万円となる。
※SAPIO2011年1月6日号