ジャーナリスト・櫻井よしこ氏は、2011年が、この先10年の世界が中国に屈伏するか、あるいは押し戻すかの分岐点になるであろうと分析している。さまよえる日本はいかなる世界観・歴史観をもって中国、および東アジア諸国と対峙していくべきか。こう指摘する。
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私たちが決して忘れてはならないことは、北朝鮮問題はすなわち中国問題であるということです。
2010年には5月、8月の2度にわたって金正日総書記が密かに訪中しました。彼は金正恩を後継とする承認を中国から得ているはずで、今回の砲撃についても事前に中国の暗黙の了解をとっていた可能性さえ考えられます。中国は北朝鮮の後ろ楯として、有事の際には北朝鮮を完全に支配できる体制をつくりつつあると考えるべきでしょう。
そのようなことはできるだけ避けると思われますが、いざとなれば北朝鮮に侵入し、直接支配することも辞さない。その布石を中国はすでに打っています。
2003年頃から中国は「高句麗は中国の一地方政権だった」と主張し始めました。かつての高句麗は北朝鮮の領土とほとんど重なります。中国は「東北工程」、すなわち中国東北部の研究という形をとりながら、「北朝鮮はもともと中国の領土だ」という理論を捏造し、いざというときには北朝鮮を占領するための伏線を張っているのです。
日本はもちろん、韓国の戦略専門家たちのなかにも、中国には朝鮮半島に対する領土的野心はないと見る人々が多いようですが、その見方は甘すぎると思います。北朝鮮は豊かな鉱物資源を有していますし、中国は北朝鮮北部の日本海に面した羅津港を租借し、日本海に直接出て行ける港を確保しています。資源の面からも地政学的にも、北朝鮮を手放すとは思えません。
※週刊ポスト2011年1月7日号