2000年に、自自公連立から小沢氏(自由党)は離脱。その後に「小泉路線」が生まれたが、市場原理主義を暴走させて格差が拡大された。それを立て直そうと訴えて、民主党による政権交代が実現した。つまり、過去10年間の大きな変化と困難は、実は小沢排除によってもたらされたといえる。
だから、今の小沢排除の結末も、逆戻りの危険を予感させる。菅総理が自民党や公明党に秋波を送り、何とか政権を維持しようとするのは、つまりは旧勢力との関係の深みにはまり、改革の流れを止めることになる。『小沢一郎 嫌われる伝説』の著者でもある渡辺乾介氏が、小沢氏に独占インタビューを行なった。
* * *
小沢:僕個人を排除するのは一向に構わない。国民に掲げた大義と理想を実行するために、「俺たちがやるから小沢は要らない」というのならそれでいいの。だけど、そうじゃなくて、現実の壁にぶつかって何もできないから、小沢排除を唱えてさえいれば、新聞、テレビが支持してくれるというのでは、それは筋違いというか、本末転倒というか、国民の期待に応える政権ではない、ということになる。
――小沢抜きの大連立なんて聞くと不愉快でしょう。
小沢:(苦笑して)それは、そう簡単にはできないですよ。
――今の政界の中枢を見ると、この大連立構想は、「自社さ政権」の再結集ではないのか。
小沢:ああ、「自・社・さ」ね。だけど、自民党もごちゃごちゃだそうだね。どこもごちゃごちゃになったら、日本も国民も本当に困っちゃう(笑い)。
――ちょうど自自連立ができた時のように、今、小沢排除の一方で、北のロシア、南の中国、西の朝鮮半島、それから沖縄問題ではアメリカとの間に大きな問題を抱えている。
小沢:自自連立の時には金融危機もあったんですね。 だけど、今はあの時よりも政治的には深刻だと思いますよ。それから経済だって、一瞬収まったように見えているけれども、底辺ではそうではないと思いますね。だから、国民は政権を代える決断をしたんですよ、本能的にね。
※週刊ポスト2011年1月7日号