民主党はある「根本的な問題」を抱えている。それは政権交代を実現する裏側にあった「政治とカネ」の問題である。民主党は自らの政治資金に関する重大な疑惑を闇に葬ろうとしているのだ。その一端を示す〈内部文書〉が存在する。入手した文書をもとに、政権の正当性すら揺るがしかねない「民主党・最大のタブー」をジャーナリスト・松田賢弥氏が追った。
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民主党には、党の財政を支える、潤沢な政党助成金がある。09年、民主党に支給された政党助成金と立法事務委託費の総額は約159億円で、党の収入全体の約97%を占める。
自民党(約81%)、公明党(約22%)など、他党と比べても突出して高く「公金政党」と言っていい。その意味では本来、他党以上に、税金を原資とするカネの使途の説明に、敏感であるべきだ。
しかし、内部調査の報告書は今もって、公表されていない。これは、理解に苦しむことではないか。
民主党の小宮山洋子は8月、組織対策費の使途について、党内で調査していることに触れ、こう話している。
「(調査は)今までの支出全体です。(既に一度)専門家の目を通っているわけですが、執行部が代わったわけですから、そこは新しい目で見てもらっているということです」(2010年8月2日付、毎日新聞朝刊)
ところが、このインタビューの直後、小宮山は、09年に約5億円もの使途不明金を出した当事者である佐藤元財務委員長から、電話でこう激しく詰め寄られたという。
「私が話したら党がぶっ壊れるぞ。墓場まで持っていく話なのに、それでいいのか」(同10月26日付、毎日新聞)
党がぶっ壊れる、とはどういうことか。ここに、菅、仙谷、岡田ら党執行部がひたすらこの問題、報告書を封印しようとする理由が垣間見える。
2007年の統一地方選、参院選を足がかりに、09年に民主党は政権交代を成し遂げた。しかし、内部調査の報告書にまとめられた、組織対策費の支出の日付を見ていくと、それらの選挙の度にカネが動いていたことがわかる。
07年の年初から、統一地方選が行なわれる4月8日までの間、山岡へ出金された組織対策費は計5億円(1月24日に1億円、2月12日に1億5000万円、3月5日に2億5000万円)。さらに、そこから7月29日の参院選までの間では計9億円(4月10日に1億5000万円、4月20日に1億円、5月8日に1億5000万円、5月25日に5000万円、6月5日に2億5000万円、7月9日に2億円)となる。
躍進した選挙の度に、巨額の使途不明金が生まれているのだ。この手法を主導したのは、小沢であるが、約3年半で総額36億円もの使途不明金を生み、その多くが何らかのかたちで選挙に使われているのであれば、これは民主党の政権そのものの正当性を揺るがしかねない。
(文中敬称略)
※SAPIO2011年1月6日号