女装家のマツコ・デラックスさん(38)と作家・中村うさぎさん(52)。9年来の仲で、互いを「本音で意見交換できる」相手という。ふたりが、老いを恐れ、美を追い続けさせられる女性たちについて、本音をぶつけ合った。
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50代直前に閉経したといううさぎさん。それまで抱いていた“老い”のイメージと現実のギャップに直面する。
うさぎ:「女性ファッション誌でもテレビでもいいんだけれども、だいたい、40代、50代の女性の美といいながら、閉経にはまったく触れてないのはなんなわけ? 私からいわせてもらうと、若づくりみたいなことをやってるうちに、閉経しちゃってさ。で、閉経してから、びっくりするほど体力が落ちたりとかさ、頭がもうろうとするとかさ、そういうような、もうほんとに切実な老いの問題みたいなのにさ、要するにいま『美魔女』といっている人たちはそれにまだ直面してないだけだと思うのよ」
マツコ:「私にとって女性の老いっていうと、やっぱりいちばん身近なのは母親の姿ね」
うさぎ:「昔、アンタから聞いた話でさ。アンタのお母さんが化粧水から最後のクリームまでずらっと並べて、横移動しながら塗ってたみたいな場面を覚えてるっていってたよね」
マツコ:「あれはいつぐらいだろう。もう30年ぐらい前でちょうど母親が50才手前ぐらいかな。私は母親が39のときの子供だからちょうど物心ついて覚えてるの。いま考えるといちばんそういう美醜に直面する世代だったと思う。もともと化粧や見かけにこだわるタイプじゃない戦前生まれの母親よ。その母親が美というものを意識していて、あれはもう一瞬だったんだと思う。何か…」
うさぎ:「悪あがきだったんだ」
マツコ:「そう。急に化粧が濃くなったりとかした時期っていうのだったのかな。子供ながらに、どうしたんだろうっていうさ。それこそ、たぶん、いま思えばそのあとに閉経もすぐに迎えたんだろうと思うわ」
うさぎ:「私がマツコのお母さんの話を聞きたかったのは、やっぱりクリームを並べて化粧していた人が、いつからそれをあきらめるっていうか、それをやらなくなるのかを知りたかったから。でもやっぱり老いっていう問題が、外見の問題だけじゃなくなってからなんだね、きっとね」
マツコ:「閉経すると、急に外見やメイクもおしゃれもきれいになるってことがどうでもよくなるわけ? 徐々にくるの?」
うさぎ:「それはわかんないな。徐々なのか、突然なのかはわかんない。人にもよるだろうし。でも、私はとにかく閉経のときに1回どーんとはきた」
マツコ:「閉経の話って女同士でもどこかタブーなわけね」
うさぎ:「閉経しても、閉経しましたっていえない人とかいるんじゃないかな。主婦仲間でも、誰かが閉経したって口火を切れば、実は私もみたいな話になるけど、自分からはいわないっていう状態。たぶん、みんないい出さなかったらさ、みんな生理があるような顔をしてさ、生きてるんじゃないかな。女性ホルモン出てますって」
※女性セブン2011年1月6・13日号