元ドイツ証券副社長・武者陵司氏によると、2010年11月にスタートしたFRB(米連邦準備制度理事会)の「QE2(量的金融緩和第2弾)」に伴い、「米景気の二番底懸念は払拭された」という。それに伴い、2011年は世界的株高が期待でき、なかでも注目は日本株だと武者氏は分析している。
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米景気回復が見通せるようになった今、投資家のシナリオもデフレからインフレに転換されるに違いない。
そうなれば、歪んだ資金の流れが是正され、株式などのリスク資産へ資金が回帰するだろう。その際は、すでに先行高をしている新興国ではなく、先進国にフォーカスが回帰するはず。中でも、注目は日本株だ。
円高が止まれば、2010年(1~10月)は世界最悪のパフォーマンスであった日本株が、再評価されることは疑いない。なぜなら、米国株以上に、日本株は歴史的割安局面にあるからだ。日本株のバリュエーション(株価に対する企業価値)は、長期金利と比較すると、先進国の中では最も割安に放置されている。
日銀は、FRBに先行する形で、円高回避と資産価格押し上げのための新金融政策を打ち出しており、円高と株価下落が止まらなければ、ETF(上場投資信託)やリート(不動産投資信託)いったリスク資産の購入を、現状の5兆円から更に大幅に拡大させる可能性が高い。そうした日銀の本腰を入れた資産価格の是正によって、日本人のリスクテイクに対する意欲は大きく盛り上がってこよう。
以上のことから、2011年は日本株の大復活が予想される。国内のリスクテイクの復活と、本格的な株高、不動産価格の上昇は約20年ぶりだ。資産効果は、日本に巨額の富をもたらし、景況観を抜本的に変える可能性がある。これは、バブル崩壊以来の歴史的な転換点を意味し、日本人の人生観を変えるほどのインパクトがある。過去の例を見ても、以後、10年間は上昇局面が続いてもおかしくはない。
※マネーポスト2011年1月号