嫁と姑がツノ突き合わせることはよくあるけれど、お金がからむと更にヒートアップなんてことも……妻と母がとんでもない争いを始めてしまった、東京多摩市の42才会社員・川辺弘明さん(仮名)の報告。(女性セブン1988年8月18日号)
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1年前に公団の分譲住宅が当たり、念願のマイホームに入居したあたりから、嫁のT子さん(35)は、生来のケチ精神をいかんなく発揮しだした。嫁は、今年の3月も終わりに近いある日、姑(70)にこう切り出した。
「もうわが家は、家のローンできりきり舞いだってこと、よーくわかってもらわないと……。来月から生活費として、月2万円を払ってもらいますからね」
「そ、そんな無茶な……」
「無茶ですか? 私だって、なりふり構わずにパート(スーパーの袋詰め作業)で働いているんですから、それくらいのこと、家族として当然じゃないですか」
嫁にいい負かされて、姑は、年金から月2万円出すことをしぶしぶ承諾した。だが、姑は日がたつにつれて不満がつのった。それは、夕食のおかずが、いつも一品しかつかないことだった。
「T子さん、スーパーの冷凍食品ばかりじゃ、ちょっと寂しすぎますよ。たまにはお刺身でも……。月々ちゃんと食費は払ってるんですからね」
翌月、姑の食卓にだけ、イワシの刺身がついた。姑は満面の笑顔で、小皿に醤油をつごうとした。すると、嫁がここぞとばかりにダミ声をあげた。
「お醤油、使うの勝手ですけど、代金は別にいただきますからね。お刺身の分まけておきますから、余分にかかったお醤油代として、この缶に、そうですねえ……160円入れてくださいな」
食卓の上に置いた電卓で、姑が使った分の醤油代をはじき出し、そういって小さなアルミ缶を差し出した。
<さすがの私も、そして息子も、家内のとった言動には、開いた口がふさがりませんでした。びっくりというか、恐ろしいというか……>(ご主人の手紙より)
姑は、怒りで震えた声で、「お、おまえ、そんなに私が……」
アルミ缶を持ったままの嫁はツンとしてなにもいわない。姑は、しぶしぶ財布を出して、160円手渡したという。