姑の介護も大変だけど、元気すぎる姑も困りもの。歌手の追っかけで浪費する姑にキレた、山梨県31歳の主婦・岡村タミさん(仮名)はデキた嫁を装い、お弁当にあるものを仕込んだ。(女性セブン1988年9月15日号)
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歌手Hのリサイタルや公演に通い詰める元気姑。ある公演の最後の日、姑は、近所の同年配のおばあさんをふたり誘って出かけることになった。
玄関を出る姑に、嫁はいった。
「きょうは、お友だちもご一緒だからお弁当、3つ分つくりましたよ」
歌手Hの親衛隊を自負する姑は、黄色い歓声をあげて、ショーに酔った。第一部が終わり、休憩時間となり、姑は友人のふたりにいった。
「気がきく嫁でねぇ、お弁当をちゃんとこしらえてくれましたよ」
ところが、お弁当を開けるなり、姑は目をシロクロさせなければならなかった。お弁当には、まっ白いごはんに大きな梅干しがひとつ――。
“日の丸弁当”だった。
姑は胸の怒りに震えたが、
「まあ、珍しいお弁当ですこと……。いただきましょうよ」
と連れの友人にいわれて、姑は梅干しをつまみあげた。
ガリ、ガリガリィ~。
異様な音がして、脆くなっていた姑の前歯が2本、ポキリと折れた。梅干しに嫁は細工したのだ。なんと、種のかわりに、パチンコ玉がひとつ転がりでた。