ここ数年間、ネット上を中心に「美人すぎる××」ということばが踊ったが、マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は「美人すぎる」という言葉も、そろそろ賞味期限が到来しているのではないかと見る。
「最近では言葉だけが独り歩きしている。たとえば『美人すぎる料理研究家』とか『美人すぎる歯科医』とかが次々と出てきてメディアに取り上げられていますが、昔からキレイな料理研究家や歯科医はいたと思います。このように言葉が薄められてしまっては、意外性は感じられません」
確かに「美人すぎる××」が乱立し過ぎて新鮮味が減じられることは否定できない。「美人すぎるNHKアナウンサー」「美人すぎるレポーター」「美人すぎるチアリーダー」となると美人なのは当たり前じゃないかと突っ込みたくもなる。
さらには職業とのギャップなんて全く関係なく、「美人すぎるビル・ゲイツの娘」「美人すぎるサッカーの長友佑都選手の姉」などという奇妙奇天烈なフレーズまで出てきた。
西川氏は言う。「ここまでくると明らかに言葉のインフレ現象が起きていると言えます。言葉というのは消費され、使い古されると消えていく運命にあり、『美人すぎる××』も消えていく前の段階に差しかかっているのかもしれません」
希少価値があるはずの「美人すぎる××」も、増えすぎればその価値がなくなってしまい、魅力は半減してしまうと言える。まさに美人薄命……。
取材・文/ジャーナリスト・沢野竜一
※SAPIO2011年1月6日号