綾小路きみまろさん(60)の自作川柳での誌上高座、今回は『年末年始の里帰り』をテーマに、中高年の「あの声」をぶった切ります。
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【ふすま戸の 隣が気になる 姫始め】
田舎の家は部屋の仕切りがふすま戸。正月、夫婦の交わりも、隣の部屋の舅と姑を気にしながらでは声も出せません。
その声も、若いときと中高年では違ってくるということを、奥様、ご存じでしょうか?
若いとき、女性の張り上げる声は『ア行』です。「ア~ッ!」「イィ~! イイわ~」、「ウッ!」と息を詰め、「エッ! そんなとこまで?」恥じらった後は「オ~ッ!」という歓喜の絶叫。
ところが、ただブラブラしているだけで、オッパイも失敗と化してしまった中高年から出てくる声は『ア行』ではなく『ハ行』です。もはや、有効期限の過ぎたご主人の愛撫に燃えるものは何もなく、出てくるのは、ため息交じりの「ハァ~ッ! フ~ッ!」。
その後、眠りにつけば、怖い夢でも見てるのか「ヒ~ッ!」突然の引きつった叫び声。翌朝、ご主人がそのことを指摘すると「ヘンことをいわないでよ!」「ホントなの?」なかなか、ご主人の言葉に同意しないのも、中高年の奥様なのです。
※女性セブン2011年1月6・13日号