やりくりや節約は主婦にとって永遠のテーマ――しかし神奈川県厚木市の主婦S子さん(29)の嫁ぎ先には、情け容赦ないドケチ姑が待っていた。(女性セブン1987年6月25日号より)
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「まったく、たし算引き算もできないんじゃ、主婦は落第よ。このぶんじゃ、ず~っとごまかしているんじゃないの。今夜は寝ないで調べなさい」
その夜、S子さんは姑の命令で、1年前からの家計簿の点検をさせられて、とうとう一睡もせずに夜が明けてしまった。
次の朝、S子さんの頭上に姑の金切り声が浴びせられる。
姑:「あなた、この1年間で3万円も計算が違っているなんて、ネコババしたとしかいえないじゃないですか。うちは、泥棒を嫁にもらった覚えはありませんからね。まったくこういう事態になったら、警察へ行くしか手はありませんからね」
泥棒扱いされた悔しさに、S子さんはトイレに駆け込んで、ひとしきり涙ボロボロ。
すると、姑がすっ飛んできてトイレのドアをバンバンと叩く。
姑:「ちょっと、S子さん、なぜ泣くんですか。トイレットペーパーで涙なんか拭かないでよ。
そういえば、あなたが嫁にきてから、トイレットペーパーがやたらと減るじゃありませんか。これは使いすぎ以外のなにものでもありません。今日から、1回に20cm以内に決めますからね」
嫁:「お姑さん、トイレも自由に使えないなんて、あんまりじゃありませんか…」
姑:「なにが無茶ですか。やればできるものです。そうそう、トイレットペーパーに、20cmごとに赤インクで印をつけときなさい」
トイレットペーパーを巻き戻して印をつけるS子さんは、涙も枯れ果てた。そんな嫁に、姑が満足そうな視線を投げる。
そして、S子さんの嘆きはいまや殺意に変わろうとしている。
「息子である主人には小遣いを渡すくせに、私にはゼロ。夫に愚痴っても“俺だって昼めし代とたばこ代もらうので精いっぱい”と取り合ってくれません。しかたなく、独身時代のヘソクリ貯金をおろして、パーマをかけたり、実家へ行く交通費を捻出していましたが、もう底をついてきました。
姑のドケチぶりに、胃けいれんを起こす始末。私を盗人呼ばわりまでする、あの姑さえいなければ……と、ふっと姑の首を絞めたくなるときがあるんです」と、S子さんの不眠の夜は続く。