外交は単に2国間の交渉だけではない。国際社会、国際世論の支持を集める国際情報戦も重要になってくる。日本はそれをあまりにも怠ってきたのではないかとジャーナリストの櫻井よしこ氏は警告する。
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中国が嘘をつくことを恥じない国であることは、尖閣諸島領海侵犯事件でも明らかです。 中国は日本の巡視船が中国の領海に侵入して中国漁船に衝突してきたと主張し、新華社通信はイラストまで使ってこの情報を流しました。衝突ビデオが流出した後も、「たとえビデオを公開しても、真実は曲げられない」と開き直ったのには、もはや、言うべき言葉もありません。
中国の嘘や謀略に対し、日本は正しい情報、真実の情報を訴えることで徹底的に戦っていかなければなりません。
歴史問題でも同様で、中国は南京大虐殺を国際社会で宣伝し続けてきました。日本は反論もせず、黙って見逃してきましたが、立命館大学教授・北村稔氏をはじめ、幾多の研究などから、大虐殺が中国の捏造であることは明らかです。
また、中国は日本が教科書に事実を書くとクレームをつけ、圧力をかけますが、日本は逆に中国の歴史的事実にことごとく反する反日教育、歴史の“捏造”にしつこいほど抗議を続けなければなりません。
中国は「世論戦」「法律戦」「心理戦」の3つの戦いを挑んできます。「世論戦」で国際世論、日本の国内世論を操作し、「法律戦」ではすでに1992年に領海法を制定し、尖閣諸島は中国領だと宣言しました。さらに圧倒的な軍事力を背景に、戦う気力を失わせ、屈服させるのが「心理戦」です。
繰り返しますが、この戦いに敗れれば、その後に待っているのは悪夢の世界です。私たちは「自由」や「人権」「民主主義」などの大切な価値観を旗印として掲げ、中国的手法と彼らの価値観を阻止していかなければならないのです。
※週刊ポスト2011年1月21日号