今年も新年一般参賀には多くの国民が集い、日本国民統合の象徴である天皇のもと新たな年を祝った。しかしその一方で、私たちは皇室の実態についてどれほど知っているだろうか。天皇とは何か、皇室とは何か。神道学者の高森明勅氏が監修した「天皇家の謎」をもとに、日本という国、そして日本人の心を改めて考えてみよう。
【年間で2000件以上の書類を決裁】
天皇陛下のご公務は一般のイメージと違い、かなりハード。決裁される書類は毎年、内閣関係、宮内庁関係など合計2000件を超える。しかも春・秋の叙勲の時など数千人もの対象者の名簿と功績調査が届き、すべてに目を通されるが、ある褒章の対象1000人が書類で一括されている場合、それで1件と数えてのことだ。
【火曜と金曜は必ずお仕事】
毎週、火曜と金曜は閣議。そこで決定された書類は、憲法で定める「天皇の国事行為」に基づいてそのつど、天皇の決裁が必要となる。だからこの日は必ずご執務。陛下が地方にお出ましの時も、内閣官房の職員が飛行機や新幹線などで現地に運ぶ。御用邸でご静養中も同じ。
【民主党政権が陛下にご負担】
閣議は原則、午前10時(国会開会中は9時)から。ところが民主党政権になって、夕方にずれ込み、結果として夜中に書類の決裁を強いて、陛下にご負担をかける例も。
【お休みはわずか60日ほど】
1年のうち、ご公務があるのは約300日。一般の企業などは週休2日で年間の休みが100日余り。祝日や有給休暇などを加えると120日以上が休みの計算だ。ご高齢の陛下のお休みはその半分ほど。
※週刊ポスト2011年1月21日号