今春卒業予定の大学生の就職内定率は57.6%と調査開始以来最悪の状況。こうした状況に外国人採用が拍車をかけているとの見方もでている。リクルートエージェント・フェローで人事コンサルタントの海老原嗣生氏は、外国人採用はさほどの影響はないと分析する。
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「パナソニックの2011年度新卒採用は外国人が1100人で全体の8割になる」
「ローソンの本社採用は、2009年には3割が中国人を中心とした外国人になった」
「ユニクロは2012年入社の新卒社員の3分の2を外国人から採用」
こういったニュースに触れると、就活中の大学生の中には心穏やかでいられない人も多いだろう。しかし、まったく気にする必要はない。
パナソニックのケースは、海外法人の現地採用の話で、本社採用とは無関係である。また他の企業の本社採用の外国人枠にしても、事業の海外展開で、いずれ母国に戻って幹部として活躍してもらうためである。
私がトヨタやパナソニック、コマツなど大手23社の人事担当者に外国人の採用計画のヒアリングを行なったところ、本社採用ではせいぜい5%、多くても10%が限度とのことだった。
大企業が外国人を採用するのは“スパイス人材”としてである。中国などの学生はハングリーで上昇志向が強いので、のんびりした日本人の中に放り込んで刺激を与えるわけだ。
中国や韓国のトップ校には超優秀な学生がいるのは事実だが、いくら日本語が流暢でも、文化も風習も異なるので企業文化をたたき込むには日本人より手間がかかる。そして、たくさん採用すれば、玉石混交ともなる。両方相まって、能力レベルが担保できなくなる。だから、外国人の採用はせいぜい全体の1割なのである。
※SAPIO2011年1月26日号