2011年から2012年にかけて日本をとりまく外部環境は一層厳しさを増してくる。わけても周辺諸国の指導者交代は大きなインパクトになると櫻井よしこ氏は指摘する。
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2012年は、各国で大統領選挙などの重要な選挙が相次ぎ、世界のリーダーの顔ぶれが大きく変わる年です。中国の国家主席が交代し、対日強硬策で知られる江沢民氏に近いといわれる習近平氏の就任が確実視されています。
米国ではオバマ大統領が続投するのか、同じ民主党の他の候補者になるのか、あるいは共和党政権が誕生するかで、対中政策、対日政策がさらに変わる可能性があります。
ロシアの大統領選挙では、メドベージェフ氏が続投するか、プーチン氏が返り咲くのか。インドでも総選挙があり、政権交代の可能性があります。
韓国では李明博大統領が引退を表明しており、後継候補が敗れて野党の親北的な大統領が誕生すれば、韓国全体が反米反日左傾化し、朝鮮半島情勢は北に大きく優位に傾くことになります。
台湾の総統選で独立を保とうとする民進党が敗れ、親中的な国民党政権が続くことになれば、それこそ台湾は中国に飲み込まれてしまいかねません。
親中的な国民党政権が続くことによって台湾が中国に飲み込まれるような事態になったら、シーレーン(海上交通路)を失う日本は極めて深刻な危機に陥ります。そして中国は尖閣諸島のみならず、沖縄をも奪おうと狙ってくるでしょう。
※週刊ポスト2011年1月21日号