A香港型を中心にインフルエンザ流行の兆しが出ている。治療は抗ウイルス薬のタミフルとリレンザに加え、昨年1月点滴薬が、さらに10月には初の純国産吸入型治療薬が保険承認された。1回の吸入治療でよく、従来の朝夕2回服用に比べて患者の利便性が高い。4種とも細胞内で増殖したウイルスが外に出るのを阻害する作用で、発症から48時間以内の投与が不可欠だ。
昨シーズン、世界的に流行した新型インフルエンザ(H1N1)の日本の患者数は約2000万人と推計されている。この冬は、季節性のA香港型を中心に感染者数が徐々に増えている。感染拡大予防としてワクチン接種がはじまっており、A香港株、Aカリフォルニア株(新型)、Bブリスベン株の3種のワクチンが接種されている。インフルエンザは通常の風邪と違い、症状が急激に悪化する特徴があり、呼吸器だけでなく消化器にも激しい症状が出ることが多い。
治療薬は経口薬のタミフルと吸入薬リレンザがあり、発症から48時間以内に服用することで症状を抑制するが、昨年、新たに点滴薬のペラミビル(商品名:ラピアクタ)と吸入薬のラニナミビル(商品名:イナビル)が保険承認された。イナビルは開発も含め、初の純国産となるインフルエンザ治療薬だ。治療薬は経口薬のタミフルと吸入薬リレンザがあり、発症から48時間以内に服用することで症状を抑制するが、昨年、新たに点滴薬のペラミビル(商品名:ラピアクタ)と吸入薬のラニナミビル(商品名:イナビル)が保険承認された。イナビルは開発も含め、初の純国産となるインフルエンザ治療薬だ。
杏林大学医学部総合診療学の林潤一教授に話を聞いた。
「4種類の治療薬は、すべてノイラミニダーゼ阻害薬といって、感染した細胞内で増殖したウイルスが外に出るのを阻害する作用機序(薬物が生体に作用を現わす仕組み)があります。作用は同じですが、構造式が異なるため、4種類になったことで治療の選択肢が広がりました」
※週刊ポスト2011年1月21日号