為替相場に季節性はあるか? FX(外国為替証拠金取引)投資家の中にも、「毎年この時期は円高になりやすい」などという経験則をもっている人はいるかもしれないが、ある季節になると決まって盛り上がる為替取引の噂話(需給トーク)について、外為どっとコム総研代表・主席研究員の植野大作氏が解説する。
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毎年「この季節には円安になりやすい」という思惑を誘発する「円安系の需給トーク」では、【1】年度明けの本邦機関投資家による外貨投資の再開、【2】給与所得者への賞与支給後の外貨投資の増加観測、【3】本邦大型連休や年末年始の海外旅行増に伴う外貨需要、などがよく話題になります。
日本人の外貨投資や海外旅行は、ほぼ毎日為替に影響を与えていますが、その中にも「旬の季節」はあります。海外旅行が増える時期の説明は必要ないと思いますが、外貨投資に関しては、多くの日本の機関投資家が新年度を迎える4月や、下期始めになる10月には、「リパトリ」(※リパトリエーション/海外に投資していた資金を自国通貨に買い戻すこと)で里帰りしたお金が再び外貨投資に向かいやすいといわれています。
個人投資家の外貨投資についても、ボーナスという軍資金が振り込まれる時期に増えやすく、金融機関の側でも、それを目当てにして個人マネー獲得営業を強化する傾向があります。この他、【4】米国の多国籍企業の「リパトリ」は12月に出やすいので、この時期は米国への資金還流でドルが買われやすいとの話もよく聞きます。
※マネーポスト2011年1月号