今年も新年一般参賀には多くの国民が集い、日本国民統合の象徴である天皇のもと新たな年を祝った。しかしその一方で、私たちは皇室の実態についてどれほど知っているだろうか。天皇とは何か、皇室とは何か。神道学者の高森明勅氏が監修した「天皇家の謎」をもとに、日本という国、そして日本人の心を改めて考えてみよう。
【お小遣いは、ほぼない】
天皇陛下はじめ内廷の皇族方5人の費用(内廷費)は3億円余。ただし、ここから皇室祭祀にかかわる掌典職らの給与やその装束、供え物の費用、災害時の見舞金や寄付などもすべて支出される。自由に使えるお金はほとんどないといわれる。
【天皇はパスポート不要】
国際慣例で元首はパスポート不要。よって天皇陛下はパスポートをお持ちでない。ただし皇太子殿下など一般の皇族方は、海外にお出ましのたびに宮内庁長官の要請で、外務省からパスポートが交付される。
【天皇は筆で書かれた免許証をお持ち】
天皇陛下も自動車免許証をお持ちだ。といっても一般の自動車教習所に通うわけにはいかないので、赤坂御用地内で練習のうえ、昭和29年、20歳の時に品川区の警視庁運転免許試験場で、奉書のような大きな紙に筆で書かれ、警視総監の署名と印がある特製の免許証をお受けになった。
【皇居を掃除して陛下に会える】
天皇陛下はほぼ毎週2回、皇居内で一般国民とお会いになっている。皇居勤労奉仕団へのご会釈だ。陛下が公式に会われるのが「拝謁」。非公式の場合は「会釈」という。お会いになるのはボランティアの皇居勤労奉仕団の皆さん。この奉仕は占領下の昭和20年12月から始まった。これまで120万人ほどの参加者がいる。15~75歳なら原則、誰でも奉仕団(15~60人)を作って参加できる。ちなみに、以前は菊の紋付きの「恩賜のたばこ」が参加者に配られていたが、禁煙運動に配慮してなくなった。
※週刊ポスト2011年1月21日号