国際情報

池上彰氏 メドベージェフ氏の国後島訪問に隠れた意図を解説

 ニュース解説の達人、池上彰氏が、ナショナリズムの台頭が著しいロシアの新しい動きを分析する。

 * * * 
 2010年11月にロシアのメドベージェフ大統領が歴代のソ連、ロシアの最高首脳としては初めて北方領土の国後島を訪問しました。この強硬な姿勢からメドベージェフの“覚悟”がうかがえます。
 
 ロシアでは2008年に当時のプーチン大統領が2期目の任期を終え、メドベージェフ大統領、プーチン首相という「双頭」体制がスタートしました。当初メドベージェフはプーチンの傀儡と見られていました。2010年「ウィキリークス」が暴露した米外交公電でも、アメリカ側がプーチンとメドベージェフの2人を映画「バットマン」のバットマンと従者ロビンの関係にたとえていたことが話題になりました。これは絶妙なたとえでしたが、2012年の大統領選を前に状況は変わりつつあります。“中継ぎ”とされていたメドベージェフが“続投”に強い意欲を見せているのです。

 メドベージェフは、ナショナリズムを掻き立てて国民の絶大な支持を得る“プーチン流”の政治手法を間近で学んでいます。国後島訪問も、そんな政治手法と無関係ではありません。この強硬姿勢は、プーチンの返り咲きが噂される次期大統領選に向けて“もう1期、自分にやらせてほしい”というアピールの一環と見ていいでしょう。

※SAPIO2011年1月26 日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン