今年も新年一般参賀には多くの国民が集い、日本国民統合の象徴である天皇のもと新たな年を祝った。しかしその一方で、私たちは皇室の実態についてどれほど知っているだろうか。天皇とは何か、皇室とは何か。神道学者の高森明勅氏が監修した「天皇家の謎」をもとに、日本という国、そして日本人の心を改めて考えてみよう。
【皇室の祖先にワニがいた】
神話によると、天皇の祖先にあたるヒコホホデミの尊は海神の娘と結婚したという。出産にあたり、本来の姿に戻って子を生むので見るなといわれたが、つい覗いてしまうと「ワニ」の姿になっていた。この場合のワニとは鰐ではなく鮫。ただし、神話上のことなので、皇室の血統が海神の神秘な力をも包摂していたという思想の表われだ。
【明治天皇を胴上げする提案があった】
明治27年9月15日、広島の大本営におられた明治天皇のもとに、日清戦争での平壌の戦いに日本軍が快勝したとの報が届いた。一同、喜びに沸いたが、1人の侍従が嬉しさのあまり、一つ陛下を胴上げしようかといい出したという(海軍中将、川島令次郎の証言)。当時の君臣のむつまじさを想像させる話だ。
【マッカーサーが昭和天皇に感動】
昭和20年9月27日、昭和天皇とマッカーサーの第1回会見。天皇は戦争についての一切の責任を負うと言明された(『マッカーサー回想記』ほか)。副官だったバワーズの証言によれば、感動したマッカーサーは次のように述べたという。「天皇を殺すことは、イエス・キリストを十字架に架けることと同じだ」と。
※週刊ポスト2011年1月21日号