中国は“これまでの10年”で「経済大国」となった。そして、“次の10年”では「世界一」へのアプローチを辿ることになる。「サウス・チャイナモーニング・ポスト」紙の元記者で、天安門事件のスクープ報道で知られるウィリー・ラム国際教養大学教授が解説する。
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中国の金余りを示すデータは枚挙に暇がない。2010年の中国の個人資産総額は16兆5000億ドル(約1300兆円)で、2000年の3.5倍にも達し、米日独に次いで世界4位。すでにGDPでは2010年で日本を抜き、世界第2位となっている。
衝撃的だったのが、「中国が2020年には米国を抜いて世界一の経済大国になる」と指摘した、英スタンダード・チャータード銀行のレポートだ。さらに、中国の中央銀行、中国人民銀行の金融政策委員・■綱氏は「中国経済は今後30年間、高い成長を続ける」との見通しを明らかにしている。
中国政府は世界最大の外貨準備高を背景に、約8500億ドル(約70兆円)もの米国債を保有。世界に流通している米国債全体の5分の1弱を握っている。
中国が手持ちの米国債の10%でも一度に売ろうものなら、市場はパニックに陥り、米国経済に大きな打撃を与えかねない。このことは、経済回復がままならず支持率が急落しているオバマ大統領だけにとどまらず、今後10年、「オバマ以後」の米大統領が共有する致命的な弱点でもあり続ける。次期最高指導者、習氏は、その「米国を黙らせるカード」を手に入れるのだ。
■……「林」の間に「メ」を二つ、下に「大」の字。
翻訳・構成/相馬勝
※SAPIO2011年1月26 日号