菅内閣の政権運営が不安定化するなか、自民党との大連立構想も幾度度なく取りざたされている。果たしてその可能性はあるのか、自民党の石破茂政調会長に聞いた。
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仮に今、解散総選挙があれば、自民党は相当数の議席を取ることができるだろう。しかし、2009年の総選挙が「自民がダメだから民主に」という論理で動いたのと同じように、「民主がダメだから今度は自民に」という政権奪回であってはならない。選挙の時に「皆さん民主党はひどいですよね」と言って訴えかけるのではなく、外交・安保について「新しい日米同盟の在り方」をはっきりと世に問い、信を得なくてはならない。
私は小沢一郎氏という政治家と組むことはあり得ないと思っている。
それは、小沢氏の主張が「自衛隊を国連に差し出せ」などという荒唐無稽なものだからだ。小沢氏は国連のことを「世界政府=international government」だと考えているようだが、国連はあくまで「連合国=United Nations」であり、もともとは第2次大戦の戦勝国の集まりに過ぎない。
日本が国益のために自衛隊を出さなければならない、と言った時に、中国が拒否権を発動したから出せない、などという事態を許容するなら、それはもはや国家主権の否定である。
そんなおかしな主張をする小沢氏を抱える民主党の、普天間に始まり尖閣の問題に至るまでの政権運営を見て、国民は外交・安保が重要であり、いかにこの分野における政府の無力が国益を損なうものなのかを実感し始めている。
■聞き手/松田賢弥(ジャーナリスト)
※SAPIO2011年1月26日号