一年の計は元旦にあり、というが、菅直人・首相が年頭に何をやったかを見ると、この政権の性格がコワイくらいによくわかる。まず年頭会見で、小沢一郎・元代表に「引退勧告」を突き付けた。昨年末に「政倫審に出ることが、あなたのためになる」と説得したこととは支離滅裂だ。
さらに資源エネルギー庁の石田徹・前長官の東京電力顧問就任で、天下り根絶を謳った菅政権の正体が見えた。
そしてその日、菅氏は公邸で新年会を開く。集まった議員は小沢邸新年会の3分の1と寂しいものだったが、注目すべきは親しい番記者たちが招待されたことである。当然、費用は税金と考えられる。そうでなくとも公邸は公式の場であり国民資産だ。官房機密費が使われたかは定かでないが、「税金によるマスコミ接待」と呼んで間違いない。
かように菅首相の元日は、「小沢叩き」「官僚お年玉」「マスコミ接待」で暮れた。政権の全貌そのままだ。
すでに報じたことだが、菅政権は発足直後、支持派議員を集めて「政権の基本方針」を話し合い、そこで決まったのが、「マスコミが良いという政策をやる。そうすれば批判されない」ということだった。中身空っぽの「空きカン内閣」らしいが、それが限界だった。
だからマスコミの側も「自分たちが政権の黒幕」と調子に乗る。先の新年会に招かれた日本テレビの記者は、得意顔で自社系列の情報番組『ミヤネ屋』に出演し、5時間も宴会が続いたと興奮して語った末に、「会の中身については約束上、公にできない」というのである。公共の電波をタダ同然で使っている放送局記者が、総理大臣から税金接待され、その内容は「国民には話せない」とは何たる特権意識か。
※週刊ポスト2011年1月28日号