中国株投資をするうえで注視しておきたいのが、中国共産党による経済政策だ。2010年10月に開催された党中央委員会第5回全体会議では、2011~15年の国家発展計画の方針を盛り込んだ「第12次5か年計画」の骨子が明らかにされている。新刊『中国株「黄金の10年」』(戸松信博氏と共著)が話題のT・Sチャイナリサーチ代表、田代尚機氏が、5か年計画から見えてきた注目の投資先を解説する。
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今回の「5か年計画」のなかで、一際目を引くのが「戦略的新興産業」の育成である。これは「省エネ環境」「バイオ」「新世代情報技術」「最先端機械設備」「新エネルギー」「新材料」「新エネルギー自動車」という7大産業を党が後押しする政策で、GDPに占める割合を現在の3%から、2015年には8%、2020年には15%まで高めるという具体的な数値目標が設定されている。
なかでも注目は、中国が経済発展していくうえでボトルネックとなりそうな石油に代わる新エネルギー関連、特に自動車だ。
今や中国は米国を抜いて世界最大の自動車大国となっている。そうしたなか、ガソリンの消費量が急拡大しており、今後は国家を挙げて電気自動車の開発に取り組むことが急務となっている。すでにこの分野では、民営のBYDが先行しているが、本命はやはり国有の大手自動車メーカーだろう。
中国では政策の後押しが何といっても強い。自動車購入を支援する「汽車下郷」によって自動車産業が急回復したように、今後は、政府が補助金をつけて大手に電気自動車の研究開発を急がせるに違いない。汽車下郷は2010年末に終了したため、自動車株は一時的に値を下げたが、すでにそこから反転に転じている。国内3大自動車メーカーの一角を占める東風汽車集団(香港・00489)や、軍との結びつきが強い長安汽車(深センB株・200625)などに目を向けておきたい。
※マネーポスト2011年1月号