小沢一郎・元民主党代表の政治資金をめぐる報道がデタラメだらけなのは、本誌が繰り返し検証した通りだが、特に記録が残りにくいテレビ局のいい加減さはひどい。
日テレが首相官邸でのマスコミ接待を番組で自慢するなど“総理の側近気どり”なら、フジテレビやTBSは「風説ステーション」である。
フジテレビは昨年12月29日の『知りたがり!SP』で、当時話題になっていた小沢氏から新人議員に渡された選挙資金について、こんな大嘘を報じた。
メーンキャスターが、小沢氏は新人議員をホテルに集めて札束を一人ずつ渡すと断定したうえで、司会者の「そのお金はどこからくるんですか」の問いに解説役のジャーナリストが、「それは総理官邸の中にある機密費から」と述べたのである。
司会者は「出たー!」と叫び、女性タレントが「それって税金ですよね」と怒りを露わにする――。
野党だった小沢氏が官房機密費をバラ撒く?
この放映に対し同社広報部は「国対政治のお金のやりとりの原資が、官房機密費だといわれているという趣旨だった。小沢氏の資金の原資とはいっていない」と、意味不明の回答。
さて、この放送を見てその通りに受け取った視聴者がどれだけいるだろうか。
そして、小沢ウソ報道の最たるものはTBSの「闇献金受け渡し証言」だろう。昨年2月に「受け渡し現場を見た」という男性の匿名証言を「スクープ」として報じたが、そもそも「ホテルの喫茶店で建設会社幹部5人が現金入りの紙袋を小沢氏秘書に渡していた」という、常識的にあり得ないずさんな話だった。
いよいよ小沢法廷が始まるから、これが事実ならそれこそ大スクープだ。同社に聞くと、
「放送した内容は十分な取材に基づいたもので問題はない」(広報部)との答えだった。
どちらも悪質な名誉棄損にも思えるが、両社とも訂正や謝罪の気配はない。
※週刊ポスト2011年1月28日号