毎年、新たなドラマが生まれる箱根駅伝にまつわる“深イイ話”をご紹介する。
今年の箱根駅伝でも、最大の注目を浴びたのは東洋大学3年生の柏原竜二選手(21)だった。往路の最終区間であり、標高差864mを駆け上がる箱根駅伝最大の山場5区(23.4km)で、1年生のときからごぼう抜きを見せ、「山の神」の異名をもつ。
昨年の「箱根」後はスランプに悩む時期もあったが見事に復活、3位でたすきを受け取ると、3分近くあったトップ早稲田大学をとらえ首位に。3年連続で区間賞を記録し、チームを往路優勝に導いた。
そんな柏原選手はどんなふうに育ったのか。1月2日のレース直後、母・次枝さんに話を聞いた。
箱根駅伝の応援のために福島県から上京した次枝さん。レース前には柏原選手の方から携帯に連絡があったという。
「それがね、私がちょうど電車に乗っているときだったみたいで。マナーモードにしていて、気がつかなかったんです(笑い)。何度かかけたのにつながらなくて、本人は“目が点”だったみたい。
実はレースの後もまだ何も話していないんです。応援も、交通事情のために、ゴール地点まで辿りつけなくて。あとで息子に“何やってたの”っていわれそうですけどね(笑い)。メールは“お疲れさま”って1行だけ送りました。だけど返信がないから、見たのか見てないのか…」
なんとも自然体の次枝さん。柏原選手が実家に帰ってきたらどんな手料理を作ってあげたいかを聞くと、
「白いご飯ですかね(笑い)。その日、冷蔵庫にあるものでありあわせで作ってしまうので、特別に手料理を用意することはありません。竜二の大好物はとりのから揚げですが、それも決まったお店で買ってくるものなんですよ(笑い)」
願掛けは「胸のなかで…」と語った次枝さん。山の神は飾り気のない、ごく普通の、それでいて素敵な家族の中で育てられたのだった。
※女性セブン2011年1月20・27日号