「失業手当を受け取るためには、どのくらい勤続期間か必要なのか?」そんな質問が弁護士の竹下正己先生のもとに寄せられた。
【質問】
友人から、雇用保険を払っていたのに未加入とされ、失業手当を十分にもらえなかったという話を聞きました。そこで参考のためにご相談したいのですが、失業手当を受け取るには、何年以上の勤続が必要ですか。また、年数による割合はどうなっているのでしょうか。私の場合は5年目になります。
【回答】
雇用保険料を納めていたことがあるというだけでは、失業手当(「基本手当」)の支給を受けることはできません。まず、一定期間被保険者となり、雇用保険料を支払わなければなりません。雇用保険法では、原則として、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることを基本手当の要件としています(第13条1項)。しかし、会社が倒産したり、解雇された場合(会社都合退職)には、特定受給資格者として、例外的に離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば足ります(同条2項)。
次に基本手当の1日当たりの額ですが、離職日の直前6か月間の月給の合計額を180日で割った金額を基準に、年齢や金額により異なりますが、おおむねその50~80%の額になります。この日額を何日分受け取れるかは、雇用されて雇用保険料を支払っていた期間(算定基礎期間)によって違ってきます。20年以上であれば150日ですが、10年未満だと90日です。しかし、会社都合で失業した特定受給資格者の場合は、年齢や算定基礎期間によって、さらに細かく区分され、最長240日から90日までとなっています。
なお、算定基礎期間は、途中1年未満の失業期間がある場合には、その前の被保険者期間が通算されるなど、複雑な計算方式になっています。期間により支給される上限が違ってきますから、正確な期間計算については、会社を辞める前にハローワークに確認してください。
また、基本手当は、失業してから1年の間の失職期間に対応して支払われますが、そのためにはハローワークの失業認定を受けるなどの手続きが必要です。従って失業手当の支給を求めるときは、退職後速やかにハローワークに申し出る必要があります。
※週刊ポスト2011年1月28日号