諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏(62)は、「ジタバタしない」生き方を説いているが、最近、「人は変われるか」について考え、以下のように指摘してる。
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最近、僕は変わるということにこだわって本を書いた。『人は一瞬で変われる』(集英社刊)。自分の行動を少しだけ変えるのはけっして難しいことではない。行動パターンを変えると性格も変わる、そして性格が変わるとかかりやすい病気も変わるという内容。
たとえば競争心が非常に強くせっかちで、できるだけ短い時間に多くのことを成し遂げて周囲から高く評価されたいと思う「タイプA」の人は、血管系の病気が多いという。脳卒中や心臓病である。
一方、優しいが他人に好かれるために相手に合わそうとする自己犠牲的な「タイプC」の人は、がんになりやすい。自分の要求を抑圧し、怒りや悲しみ、不安というネガティヴな感情を出すと嫌われると思い、怒るべきシチュエーションでも怒らないためにストレスを溜めやすいからだ。Cの人がAになるのは難しい。
AとCの間には、Bがある。自分の気持ちをちゃんと相手に伝え、怒りなどのネガティヴな感情も適切に伝えることができるタイプである。Bの人は、他人の要求も自分の要求も大切に考え、バランスよく対応していく。タイプAが緊張型なのに対し、タイプBの人はリラックス上手である。
もちろん、すべての人がピタリと当てはまるわけではない。ここでいうタイプは、どんな性格かを示すものではなく、どんな行動パターンをしているかが大事。だからCの人がBの境界に近づくような行動パターンを意識すると、がんにもなりにくくなるのだ。
この行動パターンは、幼少期、親などの教育によって形づくられることが多い。生まれついて持っている「気質」は変わりにくいが環境などで作られる行動パターンを変えることは簡単にできる。
※週刊ポスト2011年1月28日号